「運動を始めたいけれど、どこから手をつけたらいいか分からない……」「どのくらいすれば運動すればいいんだろう?」
そんなふうに感じている方には、「METs(メッツ)」という指標が役立つかもしれません。
「メッツ」を活用することで、今どのくらいの運動をしているのか、健康なからだづくりのためにどんな活動をプラスすればいいのかが分かります。
今回は、そんな「メッツ」についてご紹介します。
METs(メッツ)とは?
「METs」(メッツ)とは、身体活動の強度を示す単位です。
安静時を1としたときに、その活動が安静時と比べて何倍のエネルギーを消費するかを表します。
簡単に言うと、ソファでゆったり過ごすのよりも、どれくらいきつい活動なのかを示す指標です。
ソファに座っているのが1メッツ、立っていると1.8メッツ、ジョギングすると7.0メッツなどのように表されます。
メッツの具体例
- 楽に座っている:1.0メッツ
- 立ち姿勢:1.8メッツ
- ゆっくり歩く:2.8メッツ
- 掃除機をかける:3.3メッツ
- ジョギング:7.0メッツ
スポーツやフィットネスのような運動だけでなく、家事や仕事などの生活活動もメッツ表に基づいて評価できます。
※メッツの数値は「生活活動のメッツ表・運動のメッツ表」(厚生労働省)を参照しました。
https://e-kennet.mhlw.go.jp/wp/wp-content/themes/targis_mhlw/pdf/mets.pdf?1730089153692
メッツを使ったカロリー計算
メッツを使うと、消費カロリーの計算も簡単にできます。
○消費カロリーの計算式
- 消費カロリー(kcal)= メッツ × 時間(h)× 体重(kg)× 1.05
この計算式で、運動や日常的な活動でどのくらいのカロリーを消費しているか把握ができます。
たとえば、ウォーキング(3.5メッツ)を、体重50kgの人が15分間(0.25時間)行った場合…
- 3.5メッツ × 0.25時間 × 50kg × 1.05 =45.999…Kcal
約46Kcalが消費カロリーの目安となります。
なじみのあるカロリーとして数値が示されると、意欲が湧いてきませんか?
○便利なツールでもっと簡単に計算
「計算が面倒!」という場合は、手軽にカロリーを計算できるツールを使うのがおすすめです。
カシオさんが運営されている便利なサイトで、消費カロリーの計算ができます。
- 生活や運動の消費カロリーの計算
https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228741 - ウォーキングの消費カロリーの計算
https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228742
↑ やや速歩きのウォーキングは「3.5メッツ」相当なので、サイト内でプルダウンを変えてみてください。
最近では、スマートフォンやスマートウォッチを利用すると、もっと簡単に数値管理ができて便利です。
どのくらいのメッツを目指せばいいの?
推奨基準について
健康的なからだづくりのためには、どのぐらいの活動量を目指せばよいのでしょうか?
厚生労働省は、目安とされる身体活動量をメッツに基づいて示しています。
- 18~64歳の方:1週間で3メッツ以上の身体活動を23メッツ・時以上
- 65歳以上の方:1週間で3メッツ以上の身体活動を15メッツ・時以上
「メッツ・時」という単位は、メッツと活動時間をかけあわせたものです。
たとえば、3メッツ以上の活動を1時間行うと、3メッツ・時となります。
健康状態や体力などの個人差を考慮し、できることから少しずつ取り組むことが大切です。
身近な活動でメッツは稼げる
先に示した目安とされる身体活動量のなかの「3メッツ以上の身体活動」は、例をあげると次のようなものです。
- 掃除機をかける:3.3メッツ
- 軽い荷物運び・庭の草むしり:3.5メッツ
- ラジオ体操第1:4.0メッツ
- ゆっくりジョギング:6.0メッツ
運動・スポーツだけではなく、日常の家事でもメッツを稼げます。
積極的に動こうとするのが大事です。
また、東京都の「スポーツTOKYOインフォメーション」では、現在の身体活動量の計算や、どのような活動を追加すれば推奨値に達するかシミュレーションできます。
今日からできる!スポーツで健康増進
https://www.sports-tokyo-info.metro.tokyo.lg.jp/policyinformation/health_promotion/tokyo_style/physical_activity/trial_calculation/
スマートフォンより、パソコンの画面の方が見やすいです。
上記の「身体活動量試算表」では、現状どのくらいの活動量なのか、目標までどれくらい足りないかが分かります。
おすすめの行動メニューを追加すると、メッツがどのように変化するか試せます。健康管理に活用してみてくださいね。
「歩く」ことから始めるメッツアップ
身体活動を増やす第一歩として、まずは「歩く」ことから始めてみてはいかがでしょうか。
歩行は手軽に始められる運動で、速度や歩幅、地面の傾斜などで運動の強度を変えることもできます。
ほどほどの速さで歩くと3.5メッツ、かなりの速歩きでは5メッツ、階段を上がるとさらにメッツが増えます。
○歩行
- ほどほどの速さで歩く:3.5メッツ
- かなりの速歩き:5.0メッツ
○階段を使う
- 階段をゆっくり上る:4.0メッツ
- 階段を速く上がる:8.8メッツ
通常歩行でもの足りないときは、歩くスピードを速めたり、坂道や階段を使ったりなどの変化を加えて、負荷を調整してみてください。
体力に自信がないうちは、負担の少ないものから少しずつ始めていくほうが、無理なく継続できます。
最初はゆっくり歩いて、慣れてきたらスピードを上げたり、階段や坂道を取り入れたりして、メッツアップを目指しましょう。
おわりに:メッツの活用で健康意識を高めよう
メッツは、運動強度や消費カロリーを数値で把握するのに便利な単位です。
運動が苦手な方や、なかなか習慣的に運動ができない方は、メッツが高い日常動作を取り入れることを意識してみてください。
運動は、必ずしも特別なトレーニングやスポーツだけではありません。
日常の活動を通じて体を動かす機会を増やすことがポイントです。
メッツをうまく活用して、よりアクティブな生活を目指していきましょう。
参考
厚生労働省.「メッツ / METs」.e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-004.html
厚生労働省.「身体活動の促進」.e-健康づくりネット
https://e-kennet.mhlw.go.jp/tools_physical/
厚生労働省.「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index.html
スポーツ庁.「「運動強度(METs)」で見る、効果的な身体活動は?」.Web広報マガジン
https://sports.go.jp/tag/life/mets.html
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